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きしもと泌尿器科クリニック
きしもと泌尿器科
クリニック

岸本 涼

第24回

女性の尿漏れ(尿失禁)について泌尿器科

皆さんは泌尿器科と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。女性の婦人科、その反対で男性の診療科、というイメージが強いかもしれません。しかしながら高齢化の進む現在、男性と同様、多くの女性の方もおしっこのトラブルで悩んでおられます。男性の多くは出にくい、切れが悪いといった排尿困難が多い一方、女性は尿が漏れてしまう尿失禁で悩んでおられることが多く、むしろ女性の方が比較的若い時期から症状が出ていることが多いのが特徴です。統計では30代の女性の約3割に尿失禁があるともいわれています。 一口に尿漏れ、といっても症状も原因も様々で、適切な診断と治療を行わないとなかなかよくなりません。そこで今回は女性の方の尿漏れ(尿失禁)を中心にお話します。

腹圧性尿失禁(力が入ると漏れてしまう)
最も多いタイプのひとつで、咳、くしゃみ、立ち上がるなど、お腹に力が入ると漏れてしまうものです。力仕事、出産をされた方や肥満の方などに多いとされています。膀胱の出口を締める筋肉が緩んだり、周囲の支えが弱くなることにより、膀胱に力が入るとこらえきれずに漏れてしまう状態です。
この失禁は全体の約半数を占める、とされていますが、出口の筋肉や支えに問題があるので、薬による治療だけでは不十分なことが多いのが特徴です。まずは骨盤底筋体操といって、出口の筋肉を鍛え血液の流れを改善するなどの行動療法が治療の中心となります。お薬はあくまでも補助的な役割です。症状が重いときには手術による治療を行います。
切迫性尿失禁(尿意を感じると我慢ができない)
突然激しい尿意がおこり、トイレまで待ったが効かない、冷水を触ったり水の音を聞くと尿意を感じて漏れてしまう、というものです。原因は様々ですが、はっきりとした原因がわからないこともよくあります。こちらのタイプの失禁は薬による治療が中心となります。症状が強い場合、膀胱の壁に神経の過敏性を押さえる注射をする方法もありますが、できる施設は限られ現時点では一般的な治療とはいい難い状況です。
混合性失禁
上記の2つのタイプを両方認める状態を混合性尿失禁といいます。
溢流性尿失禁(溢れてでてしまう)
何らかの原因にて膀胱の機能が失われ、膀胱が収縮して尿が出せない状態のときに起こります。絶えず膀胱内が尿で充満しているため、あふれた分だけが少しずつ漏れて出てくる状態です。この状態の場合、失禁を抑える薬はむしろ状態を悪化させるため使えません。治療としては、いかに膀胱内の尿を減らすか、が中心となり、膀胱内の尿を減らすことが結果的に失禁を減らすことにつながります。

その他、夜に漏れてしまう夜尿症や膀胱機能以外に失禁の原因がある機能性尿失禁など、一口に尿失禁といっても多彩な種類があり、それぞれ最適な治療法は異なります。むしろ患者様個々の生活習慣、治療中の病気、身体の状態、尿量など様々な条件に合わせたオーダーメイド的な治療が必要とされます。尿漏れのことでお困りのことがありましたら、お気軽にお近くの泌尿器科を受診してみてください。

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かみはらペインクリニック
かみはら
ペインクリニック

神原 政仁

第23回

ペインクリニックとはペインクリニック

平成28年9月2日、三田市貴志に「かみはらペインクリニック」を開業いたしました神原政仁です。ペインクリニックをご存じない方も多いと思いますので、今回はペインクリニックとはどういう診療科なのか?どういうときに受診すればいいのか?などについてお話させていただきます。

ペインクリニックとは
「ペイン」とは英語で「痛み」、「クリニック」は英語で「診療所」の意味ですから、ペインクリニックは「痛みの治療を行う診療所」という意味になります。カタカナ表記なので、最近できた診療科かと思われるかもしれませんが、昭和44年に第1回学術集会が開催されていますので、50年近い歴史があります。しかし、ペインクリニックがある病院は少なく、ペインクリニックがある大学病院や総合病院でもペインクリニックだけを専任している医師は少ないのが現状です。多くの場合は週に1~2日の外来を麻酔科医が兼任して行っています。このようなことが、皆さんにお目にかかる機会が少なく認知度も低い要因だと思います。しかし、ペインクリニックを専門に開業する医師は徐々に増えており、阪神間では10件以上のペインクリニック専門の診療所が開業しています。
どのような痛みが対象か?
「痛み」は誰にとっても不快な症状であることに間違いありません。その「痛み」を1日でも早く取ってほしいと思うのは当然なことだと思います。そんな人のためにあるのが「ペインクリニックです」と言いたいところですが、全ての痛みがペインクリニックの治療対象になる訳ではありません。普通は「痛み」があるときには、痛みがある部位に何かの原因があります。「虫歯が出来て、歯が痛い」や「捻挫して足首が痛い」などがその例です。そのような痛みはその部位が治癒すれば、ほとんどの場合良くなります。つまり、「原因を治療する」あるいは「安静にしている」ことで良くなる「痛みは基本的にはペインクリニックの治療対象にはなりません。しかし、世の中には「原因を治療しても取れなかった痛み」、「必ずしも原因の治療をしなくてもいい痛み」、「原因の治療が難しい痛み」というものが存在します。そのような「痛み」を治療するところが「ペインクリニック」です。

では、具体的に、どのような「痛み」を治療しているのでしょうか?

「原因を治療しても取れなかった痛み」の代表は帯状疱疹です。帯状疱疹に罹ると、まずはウイルスの活動を抑えるために抗ウイルス薬を内服あるいは点滴します。それによりウイルスの活動が弱まり、痛みが取れれば問題ありませんが、ウイルスに対する治療を行ったあとも痛みが残ることがあり、最悪の場合には一生痛みが取れないこともあります。その帯状疱疹後の残った痛みを治療する診療科がペインクリニックです。しかし、ペインクリニックでも帯状疱疹になってから、ある程度時間が経ってしまうと、治療しても痛みが取れないことがありますので、早めの受診をお勧めします。

「必ずしも原因の治療をしなくてもいい痛み」は腰椎椎間板ヘルニアの痛みなどがその例です。腰椎椎間板ヘルニアで腰や脚が痛い人は、その原因であるヘルニアの治療、つまりヘルニアを切る手術が必要かと言うと、そうではありません。ヘルニアの痛みはヘルニアが神経を圧迫し、神経の血流が悪くなったり、炎症を起こすことで出てきますが、神経の状態を改善させるとヘルニアがあっても痛くなくなることがあります。また、ヘルニア自体も自然に縮小したり消失したりすることがあるので、手術で切らないと治らない訳ではないのです。しかし、痛みに対する治療を十分に行っても、日常生活が著しく損なわれるような痛みが続いたり、脚に麻痺などが出ている場合には手術をした方がいい場合もあります。

「原因の治療が難しい痛み」は末期のがんによる痛みなどがその例です。がんに対する治療自体は困難になってしまった場合でも、最期まで穏やかに生活していただくために痛みを和らげることは大切なことです。基本的には医療用の麻薬を使用することが多く、どの診療科の先生でも処方できますが、痛みを伝える神経を焼いたり・化学的に変性させたりする特殊な治療はペインクリニックの専門です。

以上のような痛みがペインクリニックの治療対象ですが、痛みがあってお困りのときは躊躇せずにご相談ください。ペインクリニックの治療対象であれば当院で治療を行うのはもちろん、対象ではなければ専門の診療科を紹介させていただきます。

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さんだリハビリテーション病院
さんだリハビリ
テーション病院

第22回

飲み込みの話しリハビリテーション科

平均寿命と健康寿命
最近、「健康寿命」という言葉を、よく耳にするようになりました。2000年にWHO(世界保健機関)が「健康寿命」という概念を提唱したことに続き、厚労省も健康寿命を『健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間』と定義づけ、平均寿命と健康寿命の差をできるだけ小さくすることを目標に掲げています。
日本の平均寿命は男性が80.50歳、女性が86.83歳(2014)に対して、健康寿命は男性が71.11歳、女性が75.56歳(2013年)となっています。平均寿命と健康寿命の差、いわゆる不健康な期間は、男性が9.39歳、女性が11.27歳となっていて、不健康な期間は先進国の中でも、長いと言わざる得ない状態です。
健康と一言で言っても、種々の病気や様々な状態がありますから、一概に何が原因か、どうすればいいのかなどは、複雑な話しになってきます。そこで今回は、飲み込みにスポットを当てたいと思います。
食べるということ
おいしい料理を食べる事やお腹いっぱい食べる事が、何よりの幸せだという方は多くいます。しかし食事の時に味や食感などは意識しますが、自分の食べ方や、口やのどの動き方を意識される方は少ないと思います。食べ物を食べる時は、しっかりと噛んで、喉に食べ物を移動させて、反射でゴクンと飲み込みます。食べ物を噛むときは、口がしっかりと動き、多くは舌で食べ物をのどに移動させて、飲み込むときは喉仏(のどぼとけ)が上に上がります。食べ物を食べるという事は、口やのどの運動によってなされています。
飲み込むことの障害
口やのどが上手く動かなくなり、食べ物が食べにくくなることを医療用語で嚥下障害(えんげしょうがい)といいます。この多くは加齢や脳卒中の影響で起きます。
年を経るに従い、体が昔ほど動かないと感じることはあると思います。それは、手や足に限ったものではなく、口やのどの動きも同様です。口やのどの運動機能が低下すると、食べ物が食べにくくなります。
また脳卒中のような病気では、口やのどに麻痺を生じる可能性があり、そうなると食べ物をうまく飲み込めなくなります。その結果、窒息を起こすことや、食べ物が肺の方に入る回数が増え、それが原因で肺炎(ごえん性肺炎)が生じてしまいます。
栄養摂取の方法
日本の65歳以上の死因は、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患に続き、第4位が肺炎になっています。また85~90歳では、肺炎は第3位に、90歳以上では第2位になっています。
加齢とともに肺炎の順位が上がっているのが確認できます。この肺炎の多くが、飲み込みの障害で生じる肺炎(ごえん性肺炎)という報告があります。
飲み込みに障害があると、離乳食のようなとろみのついた食事を勧められます。またお茶やお味噌汁などの水分にも、とろみをつけることを勧められます。しかしそれでも、肺に食べ物が入る頻度が多く、肺炎になるようであれば、口から食事をとることが禁止されます。そのため栄養摂取は点滴か、鼻から胃へチューブを入れて、胃へ直接に栄養食を流す、もしく胃瘻(お腹から胃へ栄養を入れるチューブを留置して、そこから栄養を入れる)という方法をとります。このような状況になってしまうと、もう健康とは言えないと思います。
そのため、飲み込む能力を維持することが大事になります。
口やのどの運動能力の維持と対策
飲み込みの能力を維持するには、口やのどの運動機能を低下させないことです。つまりは筋力を低下させないことが重要になります。
病院では、内視鏡やレントゲンを使って、飲み込みの評価が行われます。飲み込みの状態が悪ければ、食事形態の変更の勧めや専門的な治療、訓練が行われます。専門的な治療や訓練は症状によって異なりますが、自分でできる対策もあります。
  1. パ、タ、カ、ラの発声
    「パ・パ・パ・パ・パ」「タ・タ・タ・タ・タ」のように一音ずつ区切って、且つはっきりと早く繰り返し声に出して発音します。これらの音を発する時には、食べ物を飲み込む時と同じ器官(口、舌、のどなど)や場所を使うので、運動能力の低下の予防を行うことができます。
  2. 首や口・舌のトレーニング
    首や口・舌の周辺の緊張をとり、リラックスさせることで、飲み込む時の筋肉運動をスムーズにすることができます。首のトレーニングは、肩の力を抜いて、首をゆっくり前後・左右に動かし、首筋をしっかり伸ばすようにします。口のトレーニングは、ほおをふくらませたり、へこませたりを繰り返します。舌の場合は、思い切り前に出したり、引っ込めたりを繰り返し行います。
  3. 生活習慣
    特別な訓練だけではなく、お友達や家族とのおしゃべり、時にはカラオケなんかもいいでしょう。また体を動かすのもいい事です。体を動かすと、力を入れるときに歯をかみしめて、息をこらえます。この時、口やのどにも力が入ります。友達と一緒に運動すると、自然と大きな声を出す事もあります。
最後に
最近、のどに食べ物がつまる感じが増えてきた、ムセ込みの回数が増加した。微熱や痰が出る回数が増えてきたなどは、飲み込みの障害のサインと言われています。
気になるようであれば、医療機関の受診をおすすめします。飲み込みの障害が進んでいる場合には、専門的な治療やリハビリテーションが勧められます。

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あおぞらクリニック
あおぞらクリニック
佐埜 勇

第21回

痔瘻(じろう)について肛門外科

はじめに
痔疾患は痔核、裂肛、痔瘻の3つがあります。このうち、痔核、裂肛は、保存的治療でも治ることが多くあります。しかしながら、痔瘻は基本的に手術療法が原則となります。また、痔瘻を放置すると10年間くらいで痔瘻癌(肛門癌)の発生が起きることがあります。
肛門の成り立ちと解剖
肛門は、胎生期に原始腸と皮膚のくぼみが癒合して連続した一つの管として形成されます。こうしてできた管腔のおしりの穴から直腸側に向かって約3cmの部分を肛門菅と呼びます。腸と皮膚が癒合して形成されるために接合部は、歯のようにぎざぎざと波打ったような構造になり歯状線(しじょうせん)呼ばれます。歯状線を形成している肛門内のポケット状の窪みを肛門陰窩(こうもんいんか)と呼び、肛門腺(こうもんせん)が存在し、痔瘻の発生に関係します。歯状線より上の腸の部分は直腸粘膜、歯状線より下の皮膚の部分は肛門上皮と呼びます。肛門は、腸と皮膚という、血管、神経、筋肉、伸縮性が異なる2つの組織が連結した複雑な構造となっています。また、排便という特殊な働きをする重要な組織です。
直腸粘膜には痛みを感じる知覚神経がほとんどありませんが、肛門上皮は皮膚のため知覚神経が多く存在します。そのため歯状線より口側の病変では痛みがあまりありませんが、歯状線より肛門側の病変では痛みを生じることが多いのです。
痔瘻とは
通常は、歯状線のくぼみの肛門陰窩に便が入ることは余りないのですが、軟便や下痢をしていると入りやすくなります。さらにその時に肛門陰窩に傷があったり肛門腺に便が入ったりして大腸菌などの菌が感染(化膿)すると膿がたまります。このような状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)と呼びます。
肛門周囲膿瘍が自然に破れる(自然排膿)か、医療機関で麻酔下に切開を受ける(切開排膿)ことにより膿が排泄され、肛門周囲膿瘍は、いったん落ち着きます。しかしながらその後、肛門陰窩の感染部の閉鎖(治癒)が起きない限り、皮膚の排膿部との間に瘻管(ろうかん)ができます。これが痔瘻です。最初に細菌が入り込んだ肛門陰窩の部分を原発口(一次口)と呼び、切開排膿された部分を二次口と呼びます。男性の方が女性より軟便や下痢の人が多いため、痔瘻は男性に多い傾向にあります。
症状
肛門周囲膿瘍の時は、肛門部の痛み、腫れ、場合によっては、38~39℃の発熱が起こります。また、肛門周囲膿瘍から排膿して痔瘻になった場合、膿が出て時折下着を汚します。また皮膚側の二次口が、自然に閉鎖され瘻孔内に膿がたまると痛みや発熱を起こします。そして皮膚が破れ排膿すると、痛みと発熱は治まり下着が汚れます。手術治療を行うまで、こういった症状を繰り返すことが多いのです。
治療
痔瘻は、痔核や裂肛と違い内服薬や局所剤(軟膏や座薬)で治ることはほとんどありません。また放置しておくと、痔瘻が複雑化したり年月が経つと癌が発生したりすることがあります。
そのため基本的には手術療法が第一選択となります。
ただし、クローン病などの病気の一部として痔瘻を形成することがありますので、このような場合は、安易に手術を行うことはやめた方がいいでしょう。どちらにしても専門的な治療が必要になります。
痔瘻の手術には、原則3つの基本があります。
  1. 原発部位(感染した肛門陰窩)である原発口の切除
  2. 瘻管の不良肉芽、瘢痕の除去
  3. 瘻管のドレナージ
手術方法としては大きく3つに分けられます。様々な手術方法が言われていますが、全ては下記の3つの亜型です。どの手術法を選ぶかは、痔瘻の型によります。痔瘻の型は、内・外肛門括約筋に及ぶか及ばないかで決定されます。
  1. 瘻管切開開放術(ろうかんせっかいかいほうじゅつ)(lay open)
    瘻孔の部分を原発口から二次口まで単純に切開し、そのまま縫合しない手術です。損傷が大きいのですが再発が少なく痔瘻のタイプを考えると第一選択として選ばれることもあります。このタイプは基本的には、肛門括約筋に関係しない痔瘻に対し行われます。当院でも行いますが、括約筋に関連しない痔瘻は少ないので実際当院でもあまり選びません。
  2. 括約筋温存手術(かつやくきんおんぞんしゅじゅつ)(coring out)法
    肛門括約筋を切開しないで、原則的に瘻孔の二次口から瘻管をくり抜き切除する手術です。肛門の変形や機能障害を最小限に留めるため、肛門括約筋をなるべく切断せず、損傷は少ないのですが、熟練を要し、再発が多いのが欠点です。どの痔瘻に対しても可能な手術です。当院で基本的に行っている手術です。
  3. シートン(Seton)
    特殊な糸やゴムを瘻孔の原発口から二次口へ通して縛り時間をかけて瘻管を開放する方法です。瘻管の離断が進む一方で開放創が修復するので、肛門の変形や機能障害が少ない方法です。この治療も、基本的にどの痔瘻にも対応可能です。単独で行われることもありますが、2.の括約筋温存手術と併用して行われることが多いです。当院でも、括約筋温存手術の単独で困難な場合に、シートン法を併用して行っています
おわりに
どの手術法を選ぶかは、痔瘻の型と肛門の状態によって選択します。根治も大切ですが、最も後遺症の少ない手術を選ぶべきであると考えています。痔瘻が、治っても肛門に変形や狭窄などの後遺症を残すと排便困難や肛門周囲皮膚炎の頻回な発症を生じることになるからです。

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サンヒルズクリニック
サンヒルズクリニック
小林 昇

第20回

慢性心不全での再入院を予防しましょう!
-心臓リハビリテーションを中心に-内科

はじめに
慢性心不全とは、全身に血液を送る心臓の機能が低下するために、体を構成する臓器や骨、皮膚などに必要な酸素、栄養を送ることができなくなるため、各種臓器の機能が低下し、症状を呈することを言います。たとえば、頭への血流が低下すると、反応や記憶が悪くなり一見認知機能が低下したように見えたり、腎血流が低下するとおしっこの出が悪くなり、足がむくんだり、少し動いても息が苦しくなったりなどの症状を呈するようになります。心臓の機能が悪くなる原因は弁膜症や心筋梗塞、心筋症などいろいろありますが、適切な治療と内服薬、生活指導を厳守することで、心不全症状を呈することなく生活をなされている方は沢山おいでになります。
今回は心不全症状を悪化させることなく快適な生活を営むためにはどんな注意をしたらいいか、一般の方々、脳、整形疾患のリハビリを行っている方々へのお話です。
心不全の再入院を予防
病院の外来や退院時に主治医、看護師さんは、皆様が一日でも長く良い状態で、再入院することなくご自宅で過ごして頂くために服薬指導、生活指導を行います。
  1. 心臓のお薬は基本的に勝手にやめてはいけません。心臓の負担を軽減し、症状が無くなり治ってしまったような錯覚に陥り自己中止する方がいます。その結果、心不全が悪化してしまう事があります。当然、内服薬は決められた量を決められた通りに服用しなければなりません。
  2. 次に、食事指導を行います。減塩、体重管理を中心に行います。塩分は体内の水分貯留をすすめ血圧を上昇させます。体重増加は動いた時の負担を増加させます。血圧・心拍数の上昇を招き心臓への負担を増加させ、心不全を誘発させる可能性を大きくします。
  3. 日常生活の制限も行うことがあります。たとえば夜行バスの運転手等の精神的、肉体的負荷の大きな職種から事務職への配置転換を指導したり、今まで寒い時でも農作業を行ってきたおばあちゃんには、"口は出しても手は出さない"ように指導したりします。よく主治医の先生が、患者さんの日常生活上の過負荷を予防するために「無理はしないで下さいね。」と話されます。具体的に「"無理をしない"とはどうゆうこと?」と思われる方が多くおいでになります。心臓負荷の程度からの目安では「息が上がらない程度、もうちょっとだからといって頑張らないこと(たとえば階段では途中で休みを入れる事)、普段の生活とあまり違ったことをしないこと(温泉旅行に行って何回も入浴することなど)」を指します。その他、夜の生活?飲酒は?ゴルフは?などなど聞きたい事はたくさんあると思います。是非遠慮なく主治医の先生に聞いて下さい。
  4. "保温に気をつけて、寒暖の差に気をつけてください"と冬の外来に行くと帰り間際に看護師さんに声をかけられます。これは、風邪、インフルエンザなどの感染予防だけでなく、寒冷刺激による一過性血圧上昇を予防し心臓への負担をかけないようにするためです。逆に、入浴時は寒い廊下、脱衣所で上昇した血圧が、温かいお風呂につかることで血管が一気に拡張し、弱っている心臓が血圧低下に反応しきれずに脳血流の低下を招き失神などを起こす可能性があり注意を要します。
  5. 「運動は心機能、予後を改善します。ですから "適度な運動" して下さい。」と主治医が皆さんに指導する時によく使用するキーワードです。それでは"適度な運動"とは具体的にどんな運動を主治医は考えているのでしょうか?患者さんはどう理解しているのでしょうか。おそらく多くのお医者さんは、比較的若い患者さんであれば、軽やかなウォーキングや軽いスポーツをしている姿を想像し、高齢の方は、杖や歩行器を用いて歩いている姿を想像するのではないでしょうか?
適度な運動と心臓リハビリテーション
「健康維持のためには1分間に100歩前後のスピード歩行を毎日行いましょう。」

1分間に100歩とは
100歩×60分×50cm(~70cm)÷100cm÷1000m=3km/時~4.2km/時
よく"時速4kmぐらいのスピードで歩きましょう"と指導することがありますが、あくまでも身体機能障害や心疾患、呼吸器疾患の無い方の話です。
"それでは全ての人に共通する適度な運動の目安とはなんでしょうか?"という話になります。リハビリテーションとは、失われた機能を回復させることと定義されますが、その内容は多岐にわたり、疾患を有する患者さんにとっては身体的、精神的、社会的脱調節状態からの改善、状態維持、進行の遅延化などを目的とします。(実は疾患予防も含まれます。)現在、脳神経疾患、整形外科的疾患に加えて心臓疾患、呼吸器疾患、悪性腫瘍(癌疾患)などへのリハビリテーションが急性期から特定期間、保険で認められています。
心臓リハビリテーション的に"適度な運動とは何か"について説明します。心臓にとって適度とは、不整脈をはじめ心筋虚血などの心臓発作を起こさず、尚且つ心機能改善に有用な心拍数や血圧を維持できる運動負荷量と定義できます。このレベルを嫌気性代謝閾値といって、今はやりの有酸素運動レベルという事になります。簡単に有酸素運動を説明しますと歩行やジョギングで足の筋肉を使用する場合、筋肉は酸素を必要とします。必要とする酸素を滞りなく十分に供給できる運動量を有酸素運動といいます。肺・心臓・血管・血液の機能が必要とする酸素運搬に対応できる範囲という事です。酸素を運搬できる量の酸素を使用する量が上回ると、筋肉内では疲労物質といわれる乳酸が蓄積し突然動けなくなったりします。(箱根駅伝などがいい例です。突然失速します。)運動強度が嫌気性代謝閾値以下であれば、運動に必要なエネルギー・酸素が十分供給され、乳酸は過度に上昇しません。この場合、運動はエネルギーの枯渇、高体温、筋肉痛などの因子により制限されない限り、長時間継続することができます。ちなみにテレビ等で有酸素運動(エアロビクス)といって息を"はかはか"させながら行っている運動は長時間続けることができませんので、有酸素運動を越えた過度な危険な運動といえます。

安全で効果的運動=適度な運動の目安
運動は軽すぎては有効な効果は得られませんが、心臓発作や心不全増悪のリスクを冒してまで行う必要はありません。簡単な目安としては "息がはずむ程度" "会話・鼻歌を口ずさみながら続けることができる出来る最大の運動" と覚えてください。実際、心拍数はトントントントンと数えられる程度で血圧は殆ど上昇しないぐらいです。(筋肉トレーニングのような"いきむ"運動は心拍数が上昇せず血圧だけが上昇しやすく危険です。たとえば昔、屋外にあったトイレで大便をするような場合です=脳出血が多く発症していました。)冬季間の野外での運動は血圧の上昇を招きやすく危険です。ウォーキングなど行う場合は、早朝・深夜は避けて少しでも暖かく、人の眼のある時間帯に行ってください。
最後に
日頃から少しでも快適な生活を取り戻すため、大変な努力をなさっていることと思います。より安全で有効な効果を得るためには、障害の回復だけに目をとらわれず、全身的な過剰な負荷にならないように主治医の指示を守り、焦らず、無理せず、毎日少しずつ続けることが大切です。リハビリテーション施行にあたり、心臓や呼吸機能に心配なことがありましたら是非下記までご相談下さい。

医療法人社団 諒和会 サンヒルズクリニック 医院長・小林 昇
(心臓リハビリテーション認定医 日本リハビリテーション学会 認定臨床医)

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中井医院
中井医院
中井 真通

第19回

ノロウイルス内科

この夏、ノロウイルスに罹患される方が結構ありました。ノロウイルスは冬季に多いといわれていますが、感染は年中発生しています。高齢者の方が感染すると死亡されることもり、蛎、ホタテなどによる食中毒の主な原因のひとつとしても知られています。抗原性がしょっちゅう変わるたこともあって免疫がほとんどつきません。何回もかかることが多いのはこのためです。感染力は高く、100個以下のウイルスにより感染することもあります。ワクチンも未だに実用化されていませんし有効な特効薬もないため、とにかくかからないように用心することが大事です。

ヒトへの感染ルートは大きく二つあります。食中毒と感染者からの二次感染です。

食物で最も多いのは蛎・ホタテ等の二枚貝です。加熱(85℃以上で1分以上)すれは大丈夫ですが、貝をさばいたまな板・包丁から生食品(野菜類等)にウイルスが移ることによる感染もあります。食材は十分加熱し、調理に使ったまな板・包丁はよく水洗いすと事が大事です。

感染者からの二次感染には、吐物、糞便からの感染があります。唾が飛沫化し飛散感染することもあります。吐物、糞便の処理をする場合は使い捨ての手袋を使ってください。トイレや風呂場も衛生的に保つ必要があります。
手洗いは特に重要です。流水によるていねいな手洗いによりウイルス量は1%にまで減少します。ポピドンヨード液を併用すると発症率が1/10にへるようです。
消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効ですが、人体には使えず、また金属を腐食させるので金属の消毒にはむきません。加熱滅菌できるものは加熱滅菌してください。消毒用アルコール類はノロには効果がありません。

潜伏期は平均30から50時間ですが、8時間以内や72時間後の発症もあります。

初発症状は多い順に吐き気、腹痛、下痢、嘔吐です。頭痛や発熱を伴うことも一般的です。

診断は吐物・糞便検査がもっともポピュラーですが、発症初日をピークとして陽性率は下がります。検出されないからといって感染が否定されるわけではないことを知っておいてください。残念なことに小児と高齢者のみにノロウイルスの検査が保険適用されますのでこれも知っておいてください。

治療に関しては、特効薬はなく、対症療法を中心としたものとなります。健常な成人の場合9割程度は自宅療養でかまわないとも言われています。罹患した場合には水分をしっかり取り、安静にして様子を見てください。高熱、下痢嘔吐が強い場合には医療機関受診をお勧めします。

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円山医院
円山 アンナ

第18回

糖尿病にかからないようにすれば、アルツハイマー病にかかりにくくなる内科

文責(以下より抜粋)
「アルツハイマー病は脳の糖尿病だった」青春出版社 840円
森下竜一(阪大医学部教授)桐山秀樹(オヤジダイエットなど著者)共著
「アルツハイマー病には、実はインスリンが関連?!」
NHKきょうの健康2015年4月号、中別府雄作(九州大学教授)
認知症患者急増(厚労省2013年推計)
日本国内の65歳以上約3079万人のうち、15%の462万人が認知症である。
予備軍(軽度認知症)約400万人合わせると、認知症は862万人に達する。
認知症の中で最も多いのが「アルツハイマー病」である。
II型糖尿病とは
生活習慣が原因で内臓脂肪が蓄積し、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが大量分泌されても効かない為、高血糖状態が持続し、血管ボロボロ病態になる。
アルツハイマー病は、II型糖尿病と同じ原因による? 
脳の神経細胞のエネルギー源は主に糖であり、脳神経細胞は常に糖を取り込まなければならなく、そのときに大切な働きをしているのも、インスリンである。アルツハイマー病のない人の脳は、高齢になっても、糖の利用は減っていないが、アルツハイマー病の人の脳は、発症10年以上も前から、明らかに、神経細胞への糖の取り込みが悪くなっている。
このアメリカの研究報告は、アルツハイマー病は脳の糖代謝異常である可能性を裏付ける。
なぜ?
アルツハイマー病では、脳神経細胞に「アミロイドβ(ベータ) という異常蛋白が沈着し、脳の表面に老人斑と呼ばれるシミが生じる。このアミロイドは、だれにでも若いころから脳にたまるが、インスリン分解酵素は、アミロイドも片付けてくれる。
しかし、 糖尿病で血液中に糖があふれると、この酵素は脳でインスリンを分解するのに手一杯になり、アミロイドを片付けることができず、神経細胞障害で、アルツハイマー病が進行する。
新しい治療法
インスリンを鼻から投与し、脳の神経細胞に直接インスリンを送り込み、神経細胞の働きを改善しようとする研究が進められている。
アルツハイマー病と糖尿病を予防
今、できること ⇒ 肥満から脱出する生活習慣を身につけること。
糖質(白米、白パンなど)制限、夜の炭水化物ドカ食いをやめる。動物性脂肪を控える。緑黄色野菜と良質な蛋白質をとる。塩分を控え、正常血圧を保つ。タバコは絶対やめる。
若い時から始めるほど、効果が高い。取りかかってみると、意外と難しくない!

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ひがしうら心療内科
ひがしうら心療内科
東浦 直人

第17回

向精神薬について心療内科

心療内科や精神科でよく使用する薬を向精神薬といいますが、神経系に働く様々な作用の薬の総称です。以下のような種類に分類されます。

  1. 抗不安薬
    主に不安障害に使われ、不安や緊張に効果があります。
  2. 抗うつ薬
    主にうつ病、うつ状態に使われ、抑うつ気分や食欲不振に効果があります。
  3. 気分安定薬
    主に双極性障害(躁鬱病)に使われ、周期的な気分の変動を軽減する効果があります。
  4. 抗精神病薬
    主に統合失調症に使用され、幻覚や妄想に効果があります。
  5. 睡眠薬
    不眠症に使用され、寝つきの悪さや夜中に目覚めるのを改善する効果があります。

その他、抗てんかん薬、精神刺激薬、認知症治療薬などもあります。
それぞれの種類のなかでも、作用時間の長さや作用する神経伝達物質の違いなどにより、さらに細分化されます。
これらの薬ですべてが解決するわけではなく、精神療法や環境調整、生活習慣の是正などを組み合わせて治療しており、薬物療法はそのひとつの手段と考えております。

最近議論されていることは、一人の患者さんが抱えている様々な問題に対して、薬を追加し続け、多くの種類の薬を多量に処方する(いわゆる多剤併用療法)ことで、効果よりも副作用の方が問題になるケースが多いことです。そのため、できるだけ1つの薬剤のみで治療することが求められるようになりました。

具体的な例として、抗不安薬や睡眠薬は特に高齢者において、夜間にトイレに行く時などに転倒、骨折などのリスクを高めたり、せん妄と呼ばれる意識障害を生じさせ、家人から認知症を発症したのではと心配されるケースがあります。できるだけ使わず、生活習慣の改善や抗不安薬や睡眠薬以外の薬物療法で解決するのが賢明ですが、実際にはどうしても使用せざるを得ない場合があり、その際にはリスクのできる限り少ない薬剤を1つだけ少量使用します。若年者でも習慣性の問題などもあり、厚生労働省からも抗不安薬、睡眠薬はそれぞれ2剤を越えて処方しないことが求められております。
ちなみに「睡眠導入剤」という表現をされる人がいますが、それは超短時間あるいは短時間作用型の睡眠薬であることが多く、副作用がないわけではありません。

その他、双極性障害に抗うつ薬を処方することの是非、18歳未満のうつ病患者さんにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬を処方することの是非、認知症の幻覚・妄想に抗精神病薬を使用することの是非なども盛んに議論されております。

これから心療内科受診を考えておられる方、現在通院中の方、投薬について疑問があればお気軽にご相談ください。

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いわもと泌尿器科
いわもと泌尿器科
岩本 孝弘

第16回

泌尿器科のよくある病気泌尿器科

泌尿器科で扱うことの多い病気のいくつかを解説します。

1. 前立腺肥大症
前立腺は男性特有の臓器で精液の一部である前立腺液をつくっており、膀胱の出口のところに尿道を取り巻くように存在します。それが肥大して尿道を圧迫したり膀胱を刺激したりして排尿障害(尿が出にくい、夜に何度も起きる、残った感じがする、勢いが弱い等々)がおこるのです。これが前立腺肥大症です。
泌尿器科ではそれを的確に診断し治療しています。まずお薬で治療し改善することが多いです。男性で中高年になってくると排尿に関する不都合がおこってくることが良くあります。「年のせいだから」と言ってあきらめておられる方も多いようです。しかしこれは前立腺肥大症による症状のことが多いのです。決して「年のせいだから」ではありません。
また最近話題の前立腺癌の問題もあります。癌がすすめば肥大症と同じような症状がでてきます。初期の癌は症状が出ないので、血液検査(PSA)で検診を受けることが大切です。
2. 前立腺癌
前立腺にできる悪性腫瘍です。近年著名人で前立腺癌にかかられる方が多くなり話題になっています。日本では生活スタイルの欧米化に伴い、前立腺癌にかかる方が急速に増えています。死亡される患者さんの増加率では前立腺癌はトップです。アメリカでは男性の癌罹患率で第2位、死亡率では第1位で大きな問題となっています。日本でも同様の状況になっていくことが予想されます。
早期の前立腺癌の場合、手術や放射線で完治させることも可能ですし、ホルモン療法でもまず良好にコントロールできます。非常に早期で悪性度も低い場合には無治療で経過観察をすることもあります。
早期発見にはPSA検査が有用です。簡単な採血検査ですから男性で50歳を超えられた方は受けられることをお勧めします(血縁に前立腺癌の人がいる場合45歳)。
排尿に症状のある場合、良性の前立腺肥大症のことが多いのですが、癌の合併もありますので早めの泌尿器科の受診をお勧めします。
3. 前立腺炎
前立腺が細菌などにより炎症を起こし前立腺が腫れて、排尿障害等を生じた状態を前立腺炎といいます。
急性前立腺炎は排尿障害と共に高熱等症状がひどいことがあります。多くは慢性前立腺炎で、残尿感・頻尿・排尿困難・尿道や会陰部の違和感、不快感・尿漏れ感、血精液症(精液に血が混じる)等々の症状があります。原因もはっきりせず治りにくい場合もあります。治療は抗生剤・抗菌剤、植物製剤、漢方薬等の組み合わせで行うことが多いです。
4. 膀胱炎
膀胱炎は細菌(大腸菌が多い)が膀胱内に進入増殖して起こる病気です。女性は男性より尿道が短く細菌が尿道から膀胱へ進入しやすいため、膀胱炎を起こしやすいのです。その症状は、排尿痛(特に排尿の終わり頃)・残尿感・下腹部痛・頻尿・尿混濁などです。血尿がでることもあります。膀胱炎では熱は出ないので、熱発(高熱)がある時は細菌が腎までのぼって起こる腎盂腎炎を考えねばなりません。
膀胱炎の診断は尿検査(顕微鏡で尿を見る尿沈渣)による白血球や細菌の存在でつけることができます。細菌を調べるために尿培養も行います。治療は抗生物質の内服(3~7日)です。ほとんどの場合2~3日で症状は改善しますが、再発のこともあり、きちんと服用することが大切です。似たような症状でも膀胱炎でないこともありますので、泌尿器科できちんとした診断をしてもらうのが大切です。
5. 尿失禁
女性で頻尿(尿の回数が多い)や尿失禁(尿がもれる)にお悩みの方がおられると思います。恥ずかしい、どの科に行けばいいかわからない等で人知れず我慢している方が多いのではないでしょうか。出産や加齢で骨盤の筋肉が弱ることによる腹圧性尿失禁、膀胱の過度の刺激による切迫性尿失禁や頻尿があります。いずれも泌尿器科で的確に診断治療すれば良くなる場合が多いです。問診・尿検査・超音波検査・尿流量検査等「怖くない」「痛くない」検査で診断できます。勇気を持って泌尿器科を訪ねてみて下さい。
他に、男性・女性を問わず、年齢とともに膀胱が過敏な状態になり、その結果尿意の切迫感や頻尿が起こる過活動膀胱もあります。男性ではこれに前立腺肥大症も合併するとさらに排尿の状態が悪くなります。この状態も薬での治療が可能です。
6. 尿路結石
尿は腎臓でつくられ尿管を通って膀胱に溜まり、尿道を経て体外に排出されます。この尿の通り道を尿路と言い、そこに結石が詰まる病気を尿路結石と言います。結石の多くは腎臓でつくられるカルシウム結石です。腎臓にある間は無症状のことが多いのですが、腎臓から尿管に落ちてくると結石そのものの刺激や、尿の流れを妨げ腎臓の中が尿ではれる水腎症により痛みがおこります。尿路結石の診断は、問診・尿検査・超音波検査・レントゲン検査等で行います。結石が8ミリ程度以下の場合、自然排出を期待して水分摂取とお薬で経過をみます。
結石は再発しやすい病気です。再発予防のためには十分な水分摂取と泌尿器科での定期的な観察が大切です。また症状がないからといって腎臓の結石を放置するのは好ましくありません。泌尿器科医の定期的診察を受けるべきでしょう。

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佐藤皮膚科
佐藤皮膚科
佐藤 直樹

第15回

アトピー性皮膚炎について皮膚科

病因・病態
アトピー性皮膚炎は、よくなったり悪くなったりをくり返す、かゆみのある湿疹がでる病気で、多くはアトピー素因(体質)をもっています。アトピー素因とは、家族や本人が気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎にかかったことがある、アレルギー反応を示しやすい体質のことです。アレルギーも関与していますが、大きな原因としては遺伝的な皮膚のバリアー機能の低下による皮膚の乾燥にあります。気温や湿度の変化、また、汗などによって症状が軽くなったり重くなったりするのは、この乾燥しやすく刺激に弱い皮膚にさまざまな要因が加わって炎症が起こるためと考えられています。
症状としては、乳児期には口のまわりや頬、頭に赤いポツポツ、ジュクジュクした湿疹を生じることが多く、小児期には肘や膝の内側に湿疹がでてきて皮膚の乾燥がはっきりしてきます。思春期以降では顔や首に治りにくい湿疹が生じ、体の皮膚も赤く厚くなった湿疹が慢性的に生じます。
治療法
アトピー性皮膚炎の炎症を早く抑えるには、ステロイド外用薬を用います。皮膚科専門医の指導に従って決められた量と回数を使用すれば、全身の副作用は起こることはありません。逆に途中で勝手にやめてしまうと、治るのが遅くなるだけでなく、かえって症状を悪化させてしまいます。乾燥した皮膚にうるおいを与える塗り薬(保湿剤)を塗ることも大切です。また、必要に応じてかゆみを抑える抗アレルギー薬を併用します。
日常生活でのスキンケアを欠かさずに
毎日のスキンケアをしっかりしていれば、皮膚の乾燥が起こりにくく皮膚のバリアー機能を正常に保つことができます。汗をこまめにシャワーで流し、お風呂はぬるめのお湯に入るようにしましょう。また、ナイロンタオルを使ったり、ゴシゴシこすったりして洗うのは皮膚に刺激を与え、皮膚の表面を傷つけてしまうのでよくありません。保湿剤やステロイド外用薬はお風呂上りに塗ると効果的です。直接肌に触れる肌着類などは、なるべく肌にやさしい木綿のものにして、衣類や枕カバーなどは頻繁に洗濯しましょう。部屋のホコリやダニは病気を悪化させる原因の1つになるので、こまめに掃除をして部屋を清潔に保ちましょう。

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中内整形外科
中内整形外科
中内 健司

第14回

腰痛のお話整形外科

「腰痛」がある人の割合は、平成22年国民生活基礎調査で男性では第1位、女性では第2位でした。実際、腰痛を感じたことのない成人はほとんどいないのではないでしょうか。

そこで、今回は「腰痛」について、「腰痛診療ガイドライン2012」を紹介します。このガイドラインは、日本整形外科学会が国内外の多くの研究結果を基に、腰痛に関して一般的にみられ推奨される事柄をまとめたものです。ただ、腰痛には様々な原因があり、人によっては当てはまらないことがありますので、かかりつけ医や専門医にもご相談してください。

まずは、言葉の定義ですが、「急性腰痛」とは痛みがでて4週間以内のもので、3ヶ月を過ぎても痛みが持続しているのを「慢性腰痛」と言います。

職業によって、腰痛の発生率は異なり、重いものを持つ作業をする人は「腰痛」になりやすいです。事務職に比べ、介護、運輸、清掃などは腰痛の発生率は高いですが、建設業の人は発生率が低いです。フィットネスクラブに行く、ウオーキングをしているような定期的に運動をする習慣のある人は「腰痛」になりにくいです。「喫煙」をする人は、腰痛になりやすいですが、意外にも肥満であっても「腰痛」になりやすいわけではありません。また、ベッドの硬さは、適度な軟らかさがあったほうが腰痛予防には適しており、硬すぎるベッドは腰痛に対して不利です。

では、腰痛の治療はどうすればよいのでしょうか。骨折している場合は別ですが、「急性腰痛」は絶対安静ではなく、痛みのない範囲での日常生活の維持が推奨されています。また、「痛み止め」の薬を服用することは効果的です。副作用を気にされる方がいらっしゃいますが、痛みが強いときには服用することが望ましいとされています。

「腰痛は暖めるほうがいいのか、冷やすほうがいいのか」とよく聞かれますが、温熱療法を行うと症状が改善したという研究結果があります。逆に「冷やすことで症状が良くなった」という質の高い研究結果は報告されていません。いわゆる「冷シップ」は、それに含まれる水分と冷感刺激を与える成分のために冷えた感じがするだけなので「急性腰痛」にも使えます。

次に、「慢性腰痛」の治療では、複数の治療法を組み合わせて行います。慢性期においても、「痛み止め」は有効とされています。ストレッチ、筋力強化、ウオーキングやエアロビクスなどの運動をできる範囲で行うことは有効で、週1~3回の運動を最低3ヶ月行うことが推奨されています。腰痛に対する正しい知識をつけることや腰痛体操の指導を受けること(認知行動療法)も有効です。また、マッサージなどの徒手療法や鍼治療(いわゆる代替治療)は、薬を服用するよりも効果があるとは認められていません。しかも医師の同意がない限り健康保険を使えないため、対象となる人はごく限られています。

腰痛の予防については、腰痛に関する正しい知識を持つことと、継続的な運動を行うことが有効とされています。それでも腰痛が発生することがありますが、その時は、病院または診療所を受診し、診断と治療を受けてください。

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いとうメンタルクリニック
いとうメンタル
クリニック

伊藤 毅

第13回

メンタルクリニックとは心療内科

みなさんはじめまして。いとうメンタルクリニック院長の伊藤毅と申します。このたび、平成25年11月1日にJR三田駅前にあるNKビル4階にて新規開業させていただくこととなりました。地域の皆様のかかりつけ医として、心の健康をサポートさせていただければとスタッフ一丸となって全力で取り組んでまいります。末永くよろしくお願いいたします。

さて、メンタルクリニックという言葉が聞きなれない方もまだまだ多いと思いますので、当院が対応できるさまざまな心の病について、少し説明させていただきます。

心療内科
ストレスなどの心理的な原因で引き起こされる身体の症状を治療します。
例えば、原因不明の発汗、のぼせ、頭痛、耳鳴りやストレスによる下痢、胃痛などが対象です
精神科
心の機能の障害や脳の器質的な障害などによる精神症状を治療します。
例えば、気分障害(うつ病など)、不安障害(社会不安障害など)、パニック障害、統合失調症、器質性精神障害(脳梗塞による精神症状など)などが対象です。
老年精神科
物忘れをはじめ高齢者に特有の精神的な不調を治療します。
例えば、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、老年期うつ病、老年期妄想性障害などが対象です。

この中で、老年精神科という診療科目が出てまいりました。聞きなれない方も多いと思いますので、少し説明を補足させていただきます。老年精神科で対応する病とは、健康老年者にも起こりうる認知症や、老年期特有に発症する精神障害など、広範な領域にわたります。長寿者が増加し高齢化社会の急速な進行とともに、老年者への社会的対応の遅れが目立つ昨今では、老年期に発症するうつ病により自殺に至るケースも多く、老年精神科での早急な対応が必要です。さらに、身体疾患に伴う精神的不安も数多くとり上げられています。最近では、これらに対応するための高齢者専門病院、精神科病院の高齢者病棟など増加していますが、クリニックへの外来通院にて対応できる場合も数多くありますので、まずは一度ご相談ください。

最後に、認知症(痴呆)について少しふれておきたいと思います。認知症という言葉は2004年頃に導入されたもので、当初は違和感を感じた方も多いと思います。しかし最近では認知症という言葉は完全に定着し、痴呆という用語に絡み付いていた否定的なものが取り払われた感があり、言葉の持つ力に驚かされます。

認知症にはさまざまなタイプ(種類)があります。一番有名なものはアルツハイマー型認知症でしょうか。他にも前頭側頭型認知症(ピック病)、レビー小体型認知症(DLB)、血管性認知症など数多くのタイプがあります。前3者が進行性の変性疾患(脳の委縮)であり、血管性認知症は脳卒中や脳梗塞、高血圧など脳の血管の障害が原因で、脳の一部に酸素や栄養が届かず、二次的に神経細胞が障害されて起こる認知症です。

次に症状ですが、どのタイプにも、程度の差はあっても認知症の人には必ず現れる中核症状と、認知症に伴う周辺症状であるBPSDと呼ばれる行動、心理症状の2種類があります。

中核症状
記憶障害や実行機能の低下、理解・判断力の低下など
周辺症状(BPSD)
行動症状
徘徊・暴言・暴力・介護拒否・昼夜逆転・異食・失禁・不潔行為など
心理症状
不安感・強迫症状・抑うつ・幻覚・妄想・睡眠障害など

一般的に認知症の症状というと、物忘れに代表されるような中核症状しか知られていないことが多いと感じます。これが目立つようになってから、身近に接しておられる方が心配になって受診されるケースが多いのですが、その後も続く介護には、むしろ周辺症状のほうが問題となってきます。中核症状が目立つ前に周辺症状が出現することもあり得ますし、特に暴言や暴力といった性格変化、脱抑制に伴う症状には十分注意が必要です。もし気付かれた場合は早めの受診をおすすめします。

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せや眼科
せや眼科
瀬谷 隆

第12回

40代から要注意!緑内障の真実眼科

視覚障害の原因を調べた厚生労働省の報告*によると、平成元年に第一位であった糖尿病網膜症を抜いて、緑内障が第一位となり、視覚障害の原因全体の約25%を占めています。
緑内障は誰もがなりうる病気で、自覚症状がないため気づかないうちに病気が進んでしまうこともあります。日本の社会において大きな問題として考えられています。
しかも最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%であることが分かりました。つまり40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいるということになります。
しかも上記の調査では、発見された緑内障の患者さんのうち、それまで緑内障と診断されていたのは、全体の1割に過ぎませんでした。つまり、緑内障があるのにもかかわらず、これに気づかずに過ごしている人が大勢いることも判明しました。
最近の緑内障の診断と治療の進歩は目覚しく、以前のような「緑内障=失明」という概念は古くなりつつあります。現代医学を駆使しても失明から救えないきわめて難治性の緑内障が存在することも事実ですが、一般に、早期発見・早期治療によって失明という危険性を少しでも減らすことができる病気の一つであることは間違いありません。

病気にかかったとき、薬のありがたさを身にしみて感じると思います。完治させるとはいかなくても、症状の緩和であればなおさら。しかし、一方で症状によって服用してはいけない薬というものがあるのも事実です。
一部の緑内障の患者の方が、服用してはいけない薬があります。それは、抗コリン作用のある薬です。
抗コリン作用とは、心臓の鼓動をゆっくりにしたり、涙や唾液の分泌量の促進、瞳孔散大といった副交感神経末端の作用を抑えてしまう作用のことです。この作用がある薬としては、風邪薬、鼻炎内服薬(花粉症の薬など)、鎮痛鎮痙薬などがあります。
では、抗コリン作用がある薬を、なぜ緑内障の患者の方が服用したらいけないのでしょうか。これは、緑内障の方全員がということではなく、ある種類の緑内障患者に限定したことです。その種類とは、緑内障患者全体の1割程度の原発閉塞隅角緑内障や狭隅角緑内障という種類のことです。この種類の緑内障患者の方は眼球の隅角の狭い方で、もともと眼圧が上がりやすいため、抗コリン作用のある薬を服用した場合、さらに隅角を狭くしてしまい、急激に眼圧上昇してしまうことがあり大変危険です。急激に眼圧が上がった場合は、早急に治療を受けないと、最悪の場合一晩で失明してしまうこともあります。ですので、この種類の緑内障を患っていらっしゃる患者の方が、風邪や花粉症などにかかった際には、主治医の先生によく相談するようにしてください。
逆に、前述の種類でない緑内障の方は、風邪薬や花粉症の薬を飲まずに我慢ということをしなくてもよいということになります。緑内障の患者の方全員が、抗コリン作用のある薬を服用したら必ずしも危険ということではない、服用しても問題ない場合が多いということです。ですので、緑内障を患っている方が眼科以外で受診される際には、ご自身の病名を正しく医師に伝えるようにしましょう。

視野が欠けていくイメージ(右目)
視野の欠け方には個人差がありますが、たとえば下図のように進行していきます。灰色の部分が視野の欠損部分です。

正常→初期→中期→後期(実際は灰色に見えるわけではありません)

NTGとは緑内障の一種で、眼圧が正常の範囲内なのに視野が欠けていく病気です。緑内障のうち7割がNTGだといわれています。
40歳以上の28人に1人がNTG!?40歳を越えたら注意が必要です。
「自分には関係ない」と思っている方が、いちばんあぶない?
NTGにかかっているといわれており、そのうち8~9割の方が、まだ治療を受けていません*。NTGと気づいていない方が多いからです。あなたも、そのひとりかもしれません。
40歳を越えたら、年に一度は、眼科専門医で検診を受けることをおすすめします。

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つじい医院
つじい医院
辻井 陽子

第11回

夏の皮膚とスキンケア皮膚科

夏は皮膚疾患の多い季節です。近年、温暖化の影響で厳しい暑さになっています。そのため、以前に比べて日光や汗が原因となる皮膚疾患が増え、また重症化して来院される人も多くなっています。その原因となる日光と汗、そしてそのスキンケアについてお話しします。

1. 日光
日光、太陽光線は、300nm以下はオゾン層で吸収されるため、地上に届くのは300nm以上の紫外線、可視光線、赤外線です。その中で、紫外線、特にUVB、UVAが皮膚への悪影響を与えています。紫外線は、それぞれ固有の吸収波長を持っていて、各波長の皮膚への到達度が違います。
UVB(290~320nm)は、表皮から表皮上層に届き、サンバーン、つまり赤くなり炎症を起こします。UVA(320~400nm)は、真皮の比較的深層まで届き、メラノサイトに働きかけ、サンタンつまり黒くなってシミの原因となります。これらのUVは、皮膚のDNAを損傷しますが、ほとんどは修復されます。しかし、その際に突然変異を起こすことがあり、皮膚癌を引き起こします。また、UVの慢性暴露により、皮膚の真皮浅層の弾性繊維が変性し光老化を起こしてシワを生じるのです。
そこで、日光から皮膚を守る必要があります。
日焼け予防は夏だけと思われていませんか。近年、オゾン層の破壊による温暖化の影響で、春の紫外線量が増加しています。紫外線は、雲である程度カットされて地上に降り注いでいますが、春は夏より雲が薄いため紫外線が通過してしまい、夏の日差しがなくても多量の紫外線にさらされているのです。ですから、夏だけ日光から皮膚を守るのではなく、春から予防していく必要があります。最近は異常気象で天候が予想できにくくなってきましたので、私は1年中しっかりと日焼け予防をすることをお勧めします。
まず日焼け止めの外用が必要です。外用剤は、一般にSPF50以上、PA+++以上、できましたらウオーターレジスタンス(汗に強いが、野外スポーツには対応できない)が必要です。お肌の弱い人は、無理せず外用出来るSPFでよいと思います。大切なのは、必要量を塗ることと、塗り直しをすることです。一日に顔に塗る量は500円玉の大きさ、サクランボ2個の大きさなどと言われていて、その量を塗り重ねていきます。実際そのような多量を一度に塗布できませんので、3~4時間毎に塗り直す必要があります。それに加えて、UVカット力の強い衣類、帽子、傘、眼鏡を併用して下さい。
また、海水浴、プール、野外活動など、炎天下で長時間過ごす時は、シャツやラシュガードを着用して下さい。
2. 汗
汗は皮膚に潤いを与えます。皮脂と汗が混ざり合って皮脂膜を作り、皮膚の1番外にある角層で皮膚のバリア機能を保っています。これは、乾燥や感染症から皮膚を守り、体温調節も行っているため、皮膚を健康な状態に維持していくには不可欠なものです。
夏になると体温調節をするための発汗が活発になります。本来、汗腺の働きは、汗を分泌するだけでなく、HCO3やNaCl、そして水の再吸収も行っていて、両方の機能で汗をコントロールしていますが、大量の汗をかくとHCO3やNaCl、水の再吸収が追いつかなくなり、汗の中の塩分の濃度が高くなって皮膚に刺激を与えることになります。
汗をシャワーなどの水を使って洗い流すことが、日常取り入れやすい皮膚のバリア機能を保つ方法です。帰宅したら、まずシャワーする習慣をつけるとよいでしょう。
汗を水で流すことによって感染症の予防にもなり、体表面のクールダウン効果もあるため掻くことも少なくなります。ただし、シャワーをした後は皮脂が減り乾燥するため、すぐに保湿することが大切です。特に、アトピー生皮膚炎など皮膚疾患を持つ人は、夏でも乾燥するため保湿は必ず行ってください。
直接肌に触れる衣類は、通気性や吸水性に優れた木綿が最適です。また、汗をかいたら、まめに着替えることも汗を肌に残しません。特にシャワーのできない仕事中や学校では心がけてください。

夏の皮膚疾患の大敵である日光や汗から皮膚を守って、快適に夏を過ごしてください。

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槻の木心療内科
大槻 不二比古

第10回

第109回日本精神神経学会学術総会からの報告心療内科

5月23日のトピックフォーラム5の「生活習慣病としてのうつ病」に出席してきました。
日常の診療の中では、長期にわたり身体的、精神的ストレスにさらされた結果強いうつ症状を来してしまい、受診となったケースを多く経験しています。例えば職場で長期間上司からの直接、また時間を選ばない電話・メールでの罵声からPTSD様の症状も来してしまった人、帰宅が零時を過ぎ食事もとらず数時間の睡眠で出勤することを何ヶ月も続けなければならなかった人など、その結果抑うつからくる様々な症状、気分の沈み・意欲の低下、強い不安、不眠などとともに、以前の人格からは考えられないような状態となってしまった人などです。
その経験から、患者さん本人の生活習慣から来るもの、つまりその本人の責任から来したものである様なニュアンスに違和感を感じ出てみたものです。つまり抑うつ症状が本人の生活習慣から来た病気の状態とは考えられない症例が多くあるからです。

今回の発表によると、生活習慣病としてのうつ病という見方の出てきた背景は、休養と薬物療法でもすっきりとは回復せず、長期の療養でも社会への復帰が困難となるケースの多いところから、うつ病を他の一般の生活習慣病をモデルとして理解し、予防・治療するアプローチとして出てきたとのことでした。

これまでに運動療法・栄養療法・休養・嗜好品・睡眠など他の生活習慣病でいろいろと検討されてきた要因について、うつとの関連が研究されてきています。が今までに発表された多数の論文などに当たってみると今のところ、ある程度有効と思われるものはあっても確実に発症予防になると言えるか、発症・再発のリスクはあるのか、そのリスクを下げるのかはまだはっきりとはしないようです。

しかし中には生活習慣から種々の病気・障害の発症や悪化の要因となっていることの実感される場合もあり、患者さん自らの主体的な治療参加を促すことが必要であるとのことでした。それと伴に、上記の様な、患者さんの側ではどうにもできない環境もあり、患者さんの自己責任論を慎重に避けることが必要とのことでした。

またこのフォーラムの他の発表では、中等度以上(うつの重症度のスケールHAMD24以上)のうつ状態ではない、軽症うつでは抗うつ剤の効果は乏しく、重症度を的確に把握し、一部のうつには生活習慣の指導や、生活場面でのまた職場環境の調整が必要との発表もなされていました。
運動療法に関する発表では、多数の論文を分析すると少しは効果はあり、有酸素運動での改善はあるようです。運動のみではうつは再燃しやすいとのことであり、また寝る直前の運動は不眠の改善には結びつかないようでした。

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整形外科ふくしまクリニック
整形外科ふくしま
クリニック

福島 久德

第9回

痛みの治療について整形外科

最近痛みの治療の方法が変わってきていることをご存知ですか?

従来は痛み止めの飲み薬(消炎鎮痛薬)やシップなどの外用薬、低周波などの物理療法、時には痛み止めの注射などのいわゆる保存的治療をしばらく行い、症状が改善しなければ手術的治療を選ばざるを得ないことが多かったと思います。しかしながら、この保存的治療と手術的治療の間にはかなりギャップがあり、患者さんも我々医師もとまどいを覚えることがしばしばでした。
そのギャップを埋めるべく漢方薬やさらに高度な注射療法(いわゆるブロック注射)などを駆使してきたわけですが、最近新たな薬剤が使えるようになり治療の選択肢が増えてきました。消炎鎮痛薬が効きにくい神経痛に効果のある薬(リリカ)や、慢性的な痛みに効果のある軽い麻薬系の鎮痛薬(トラムセット錠・ノルスパンテープ・デュロテップパッチ)がそれです。
もちろんこれらの新しい薬剤もすべての患者さんに効果があるわけではなく、また眠気やふらつき、吐き気や便秘などの副作用がみられる場合もあります。新聞などのマスコミで取り上げられることもあり、これらの薬剤に過剰な期待をして来院される方もみられますが、医師とよく相談し、これらの薬剤の特性を十分に理解して使用することが大切です。

また、最近運動療法が痛みの治療に有効であることが改めて見直されてきています。痛いから動かさないのではなく、少しずつでも体を動かしていくことが痛みから解放される近道となります。
“病は気から”とよく言われますが、特に慢性的な痛みにはこの〝気″が関わっている場合が非常に多くみられます。御自分の症状をこまごまと考えるのではなく、気分を楽にし、ゆったりと痛みと向かい合うことが大切です。
痛みとケンカしてはいけません。ケンカしても必ず負けてしまいます。「痛みを押さえ込もう」「直してやろう」とリキむのではなく、痛みがあっても「○○ができるようにやってみよう」「△△ができるようになった!」と前向きに考えるようにして、少しでも体を動かしていくことが痛みと上手につきあうコツであり、結局御自分が一番楽になる方法になります。

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たていし小児科
立石 径

第8回

食物アレルギーについて小児科

食物アレルギーをお持ちになる患者さんの数は近年増加傾向です。
治療、対応としても以前の「除去」を中心とした経過観察よりも「食べること」に主眼をおくようになってきております。血液検査は重要な一つの所見ではありますが、高ければ食べられないという訳ではなく、低値であっても原因食物となっていることがあります。
食べられるか、食べられないかは結局のところ「食べてみる」といった形でしか判定できません。そのため「経口食物負荷試験」がある意味、唯一の診断方法と言えます。

また一部施設では「食べて治す」といった積極的な治療も試みられております。
入院の上でごく少量の原因食物を徐々に増量しながら食べていき、短期で食べられるようにしていくものです(急速経口免疫療法)。
まだまだ発展途上の治療ではありますが、重度の食物アレルギーを持つ方にとっては非常に画期的な内容です。

入院ではなく、外来で徐々に摂取量を増やす方法を取り入れている施設もあります。入院ほど急速な寛解(食べられるようになること)は得られませんが、「少し食べてみる」といったある種「あたり前」の治療ではあります。

しかしながら、なかなか寛解しない重度のアレルギーを持つ方も一定数存在します。そういった方のために、最近ではアナフィラキシーショックに対応するための注射薬も保険適応となりました。
食物アレルギーの治療、管理も他の分野同様に日進月歩です。食べることが無理と思っている方でも食べられることが多々あります。一時食べられなくとも定期的に医療機関を受診し、食べられるようになるタイミングを相談してください。

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高雄耳鼻咽喉科クリニック
高雄 真人

第7回

花粉症について耳鼻咽喉科

アレルギー性鼻炎はくしゃみ、鼻水、鼻閉を症状とする疾患で、通年性鼻炎と季節性鼻炎に分かれます。
花粉症は季節性鼻炎のことで、花粉抗原が原因になります。時期によって原因が異なります。春はスギやヒノキが原因になり、初夏はカモガヤなどのイネ科が原因になります。秋はキク科のブタクサが原因になります。
原因の中でもスギ花粉症の有病率は高く、国民の4分の1以上がスギ花粉症だと考えられています。今回はスギ花粉症の話をしたいと思います。

1. 診断
花粉症の場合は、その花粉飛散時期に症状が出れば大体判断できます。特に天気の良い日に外出すると鼻炎の症状がひどくなったり、目の痒みなどの眼症状があれば花粉症でほぼ間違いないと思います。
耳鼻科では鼻の粘膜の状態を診ることでアレルギー性鼻炎かどうか判断しますが、診断をつけるには検査が必要になります。検査には鼻汁中の好酸球を調べたり、誘発テストを行ったりします。また詳しい原因については皮膚テストや血清特異的IgE抗体定量検査を行います。検査を希望される方は、近くの耳鼻科を受診するとよいとおもいます。
2. 治療
治療には薬の内服治療、レーザー治療、免疫療法などがあります。
内服治療は抗ヒスタミン剤の内服になりますが、眠気の副作用がでることが問題になります。副作用の出方も人によって異なるのですが、眠気の出る可能性がある人は、処方の際にそのことを担当医に伝える必要があります。最近は初期療法という花粉が本格飛散する2週間ぐらい前から抗ヒスタミン剤の内服を始めるのが推奨されています。眼のかゆみがある場合は、点眼薬も併用された方が良いと思います。
レーザー治療は鼻の粘膜をレーザーで焼くことでアレルギー反応が起こりにくくします。レーザー治療は花粉シーズンの1か月前に終えておく必要があります。
免疫療法は原因のアレルゲンの注射を繰り返しおこない、体に慣らす治療です。治療に時間と手間がかかることが問題になります。最近は皮下注射にかわり舌下投与による治療法が治験としておこなわれており、将来的には一般的な治療になる可能性があります。
3. おわりに
2013年春の花粉飛散量の予測は、西日本の一部をのぞいて10年平均値以上と考えられています。花粉症対策として外出時にマスクやゴーグルを付けたり、体についた花粉を家の中に持ち込まないことが大切です。
また毎日の花粉情報のチェックを行う必要があります。初期療法をご希望の方は、花粉の飛散するまえに耳鼻科を受診することをお勧めします。

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山口内科医院 山口浩三
山口内科医院
山口 浩三

第6回

虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に関して内科

日本人の四大死因は悪性新生物(癌)、心疾患、脳血管疾患、肺炎と言われています。現在、心疾患は悪性新生物についで多く、第二番目の死因となっています。心疾患には、心臓を栄養する血液が不足する虚血性心疾患、心臓の働きが低下する心不全、心臓の拍動のリズムに異常をきたす不整脈などがありますが、今回は虚血性心疾患に関してご説明します。

虚血性心疾患とは、狭心症、心筋梗塞を指す言葉です。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをする臓器ですので、心臓の中は血液で満ちています。心臓も他の臓器と同じく、心臓自身のための酸素や栄養の補給のために血液を必要としますが、心臓の中の血液を心臓が使うことはできず、心臓の周りを取り巻いている冠動脈という直径3mm程度の細い血管のみが心臓の役に立つ血液を供給しています。
狭心症、心筋梗塞ともに冠動脈の血流が足らなくなって、胸が痛んだり、心臓の動きが低下したりする疾患であるため虚血性心疾患と言います。一時的に冠動脈の血液が足らなくなるものを狭心症、冠動脈の血液が止まって回復をしないものを心筋梗塞といいます。心筋梗塞は心臓の機能が永続的に低下し、重篤な後遺症が残ることが多いため緊急に治療が必要です。

次に、虚血性心疾患に関しての原因、症状、検査、治療、日常生活での注意点などに関して簡単にご説明します。

1. 原因
上に記しましたように冠動脈の血流低下によっておこります。
血流低下の原因として最も多いものは、動脈硬化により徐々に冠動脈の内腔が狭くなってくるものです。しかし、それ以外にも突然冠動脈が痙攣して狭くなるタイプや、冠動脈の中の血液が固まって詰まってしまうタイプもあります。
2. 症状
典型的な症状は胸痛です。最も典型的な胸痛は左前胸部痛ですが、それ以外に胸部正中の痛み、背中の痛みや肩の痛みなどの場合もあり、なかにはあまり痛みのないタイプもあるため注意が必要です。
痛みの性状は体の中の方からくる圧迫感を伴う痛みとよく表現されます。その他に、息が苦しい症状や不整脈の症状がある場合もあります。
狭心症の場合は症状は一時的で、安静により5分から10分程度で治まる場合がほとんどです。特に動脈硬化により徐々に冠動脈の内腔が狭くなってきたものは労作性狭心症といい、運動によって胸が痛み安静によって治るという典型的な症状を示します。
心筋梗塞の場合は、一般的に痛みも強く安静にしても痛みが持続します。
3. 検査
心電図が基本となります。ただし、典型的な変化が出ない場合も多く心電図のみで判断はできません。
他に、心臓の動きの低下を見る胸部X線写真、心エコー、運動時の発作を見る運動負荷試験、夜間の発作を見るホルター心電図、心臓の筋肉中の血流を見る心筋シンチグラム、冠動脈の狭窄を直接調べる冠動脈CT、心臓カテーテル検査等があります。
4. 治療
冠動脈に狭窄や閉塞がある場合には、心臓カテーテルを使い冠動脈に直径2~4mm程度の細い風船を入れて広げる治療が主流です。さらに広げた血管にステントというメッシュのパイプを入れて再度細くならないようにする治療もよく行われます。外科的に血管をつなぐバイパス手術をする場合もあります。
冠動脈が痙攣して狭くなるタイプや、冠動脈の中の血液が固まって詰まってしまうタイプには薬物による治療が必要です。いずれの場合にも再発予防のため長期にわたって薬を内服する必要があります。
5. 日常生活での注意点
まず発症しないように予防が重要です。以前は西洋に多い疾患でしたが、近年食生活の西洋化に伴い日本でも増加しています。食生活では、油ものや塩分をとり過ぎないようにし、適度な運動を行うようにし、規則正しい生活をすることが重要です。また、高脂血症、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病はいずれも虚血性心疾患を引き起こしますので、きちんと治療を受けることが重要です。
狭心症と心筋梗塞では後遺症の面において大きな違いがありますので、冠動脈が閉塞をする前に早期発見することも重要です。運動に伴い胸部痛がある場合や夜間に胸部痛を繰り返している場合などは、早めに受診しましょう。

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なんりクリニック 南里昌史
なんりクリニック
南里 昌史

第5回

胃食道逆流症(GERD)のはなし内科

胸やけ(胸がやける様な感じ)、苦い水が上がる、ノドの違和感、ゲップ、おなかの張りなどの症状でなやまされている方はおられませんか?これらの症状にあてはまる方は、胃食道逆流症(GERD)という病気の可能性があります。この病気は近年食生活の欧米化や高齢化により患者さんが増えてきています。

胃食道逆流症(GERD)とはどのような病気なのでしょうか。胃食道逆流症(GERD)とは、胃液などの胃内容物がさまざまな理由によって食道に逆流し上記のような症状を起こす病気です。そのなかで食道に炎症のあるものを逆流性食道炎といいます。

この病気になりますと、胸やけや呑酸はわずらわしいですし、食後症状が悪化する人は食事が楽しめなくなったり、前かがみになったり運動で腹圧がかかると症状が悪化する人は、そのような動作が億劫になったり、また夜間に逆流のため症状がでると睡眠の妨げになるなど、生活の質が損なわれてしまいます。

そればかりでなく、もし逆流性食道炎を放置すると、食道の蠕動運動が低下し、逆流した胃液などを胃に押し戻す力が低下し重症化します。また重症化して食道潰瘍をつくると潰瘍の部分がひきつれをおこし食道の通りが悪くなる“狭窄”という状態になり、飲み込んだものがつかえるようになることもあります。さらに、食道炎の治癒過程で“バレット食道”という状態になると、まれですが食道癌ができることもあります。

治療は生活習慣の改善、薬剤、場合によっては手術をおこないます。
生活習慣の改善と書きましたが具体的には、

  1. アルコール、タバコを控える。
  2. 脂っぽいもの、甘いもの、刺激の強いものは控える。
  3. 暴飲暴食は避け、食べたらすぐに横にならない。
  4. 就寝中はお腹から頭にかけて高くする。
  5. 前かがみになる、重いものをちあげる、ベルトや下着で腹部を締め付けるなど腹圧を上昇させることは避ける。
  6. 肥満も内蔵脂肪のため腹圧を上げることになるのでよくありません。肥満の方は、運動・食事療法で体重を落としましょう。
これに胃酸分泌を抑える薬剤で治していきます。
治りが悪いと手術になることもあります。

今回は胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎についてお話ししました。胸やけや呑酸などの症状があれば、我慢せずに近くの医療機関に受診しましょう。

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田場小児科医院 田場隆介
田場小児科医院
田場 隆介

第4回

生命の伝承といきいきとした経済のために小児科

日本は2005年以降、既に人口減少過程に入っています。
2025年問題を御存知ですか?第1次ベビーブーム、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となり、現在41兆円の費用がかかっている医療や介護サービスは、 2025年にはその倍の91兆円以上になることが見込まれます。
わが国の社会保障制度は、基本的に人口増加時代に設計され、「働く世代が引退世代を支える」、「賦課方式」となっています。働く人の割合が低下すると、負担を高めるか、サービスの質や量を引き下げるかの選択を迫られる事になります。
労働力人口の低下に対して端的に対応するならば、就業率の引き上げがまず考えられます。特に、日本女性の就業率は先進国の中でも低いほうであり、まだまだ引き上げる余地があります。しかも、能力のある女性が多く見受けられるにもかかわらず、その潜在能力が生かされていません。
しかしながら、女性には出産と育児のハードルが存在し、いったん離職を余儀なくされてきました。就業に際し、実母の力を借りようにも、平均世帯人員は2.38人 (総務省自治行政局「住民基本台帳人口要覧」による)と減少し、核家族が今やマイクロ家族化。家庭にも育児を行う人的資源は少ないのが現状です。
有名な、いわゆるM字カーブのくびれ*を、欧米並みに引き上げるためには、保育の社会化が避けられません。

M字カーブ

三田市は、「子育て先進都市」をめざし、「子育てするならゼッタイ三田」のスローガンの元、他の自治体と比較しても手厚い子育て支援を行っております。
その子育て支援事業の一環として、病児・病後児保育「さんだワラビーズ」(電話:079-565-2727)があります。さんだワラビーズでは、病児保育専任看護師1名、保育士2名、そして医師が常駐。生後6カ月より満10歳の感染症・外傷後・母体育児困難のお子様を、責任と真心をもってケア致します。医師は、入所時の診察と投薬、午後の廻診、必要な時は輸液などの処置も行っております。また、お子様が幼稚園や保育所・小学校で急に発熱され、お母様がお仕事の都合で迎えに行けない場合に、さんだワラビーズでお預かりし、直ちにケアと加療に当たる“ヘルプワラビーズ”制度も御座います。
三田市在住のお母様方、どうぞ安心して「さんだワラビーズ」を上手くご利用下さい。いつでもお電話をいただければ、担当保育士に繋がります。利用当日の電話予約可、キャンセルはお電話をいただければ幸いです。詳しくは田場小児科医院のホームページをご覧ください。

HIB、肺炎球菌ワクチンの全額助成と、それによる接種率の向上により、小児重症細菌感染症は明らかに減少している印象があります。
その一方、学校保健安全法による感染症の出席停止基準が、本年4月より省令改定されました。インフルエンザをはじめ百日咳・おたふくかぜは、感染拡大を防ぐために、従来の基準と比較して、より長い期間、保育所・幼稚園・学校をお休みしなければならなくなりました。
「条件が合えば働いてもいい」そう仰っていただけるお母様方、われわれがサポート致します。お子様の風邪のために社会活動を犠牲にせず、生き生きとした経済のために働きましょう。

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中田内科クリニック 中田淳
中田内科クリニック
中田 淳

第3回

胃に棲みつく悪玉菌 “ヘリコバクターピロリ”内科

胃がんは欧米に比べ日本を含むアジアに罹患者が多く、日本では常に癌での死因の上位にあります。胃がんに罹患して治療をするよりも、胃がんを予防して罹患しないようにすれば治療費もかからず、寿命も延び、精神的な不安もなくなるでしょう。しかし、インフルエンザなどの感染症のように胃がんを予防することができるのでしょうか?

食生活で考えると、主に塩分摂取をひかえることです。また、定期的な予防となると胃カメラや胃X線造影検査をされるのも良いことです。これらは根気も必要ですし、手間もかかりますが効果的といえます。もし、感染症から将来、胃がんを発症させるとすれば感染予防も考えるでしょう。

ある菌が感染していれば、胃がんの発症リスクが高くなり百害あって一利なしであることがわかっていれば、誰もが除菌したいと思われるでしょう。胃がんと密接に関係し、最近では日本人の胃がんの原因とまで言われているヘリコバクターピロリ菌のことです。

ピロリ菌は、胃の中に棲みつく悪玉菌ですが、ピロリ菌が見つかるまで、胃の中は強い酸性なのでその中で増える菌をあまり考えることはありませんでした。1982年にピロリ菌が発見されて以来、その特性が知られるようになり、胃炎の起炎菌、胃・十二指腸潰瘍の原因菌となることがわかってきました。また、胃がんの患者にピロリ菌感染者が多いことから、胃がんとの関連性も研究され現在では、ピロリ菌感染者が将来、胃がんになりえることも考えられています。しかし、ピロリ菌は直接、胃十二指腸潰瘍の原因と言えますが胃がんの直接的な原因とまでは言えないでしょう。保菌していることで長期間、胃粘膜の損傷が続くことに問題があるといえます。

まずは、ピロリ菌に感染しているかどうかを知ることです。保険適応疾患がなければ、自費での検査・治療となりますが、胃がん予防のひとつとしてピロリ菌が感染していれば、是非、悪玉菌の除菌をおすすめいたします。人間ドックや健診などでピロリ菌陽性または感染している可能性があると言われましたら一度、受診いただいてご相談ください。

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伊田眼科クリニック 伊田宣史
伊田眼科クリニック
伊田 宣史

第2回

加齢黄斑変性の疫学と予防
― 健康な目を守るためのサプリメント摂取 ―眼科

加齢黄斑変性とは、ものを見るときの視界の中心視野となる網膜の黄斑が加齢により傷み、「ものがゆがんで見える」「ものの真ん中が暗く見える」等の症状が出て、徐々に視力が低下し、ものが識別できなくなる病気です。完全に視力を失う失明とは違いますが、生活のクオリティに深刻な影響を与えることには変わりありません。

< 加齢黄斑変性の見え方 >
加齢黄斑変性の見え方

現在、わが国では50歳以上の約80人に1人が加齢黄斑変性に罹患していますが(約70万人)、発病する前段階の加齢黄斑をもつ母集団は、その数倍、すなわち推定500万人に達すると考えられています。

< 加齢黄斑の眼底 >
加齢黄斑の眼底

< 加齢黄斑変性の眼底 >
加齢黄斑変性の眼底

この病気は高齢になるほど増加する傾向があり、今後、超高齢化社会を迎えるわが国では加齢黄斑変性に罹患する人の割合がますます増えていくと予想されます。そこで、今回は加齢黄斑変性が発病するとき目の中で何が起こっているのか、どうすればこの病気を予防できるのか、最新の知見を加えて簡潔にお話したいと思います。

原因はまだよく分かっていませんが、生活習慣病と深く関わることが指摘されています。とくに心筋梗塞や脳卒中といった日本人の中、高年齢者に起こりやすい内科の循環器疾患と危険因子が相関することは興味深い事実です。
加齢が原因となる病気は、血管が傷み、血液循環が悪くなる慢性炎症のメカニズムが働きます。高血圧や動脈硬化のある人の加齢黄斑では、網膜や脈絡膜の血液循環が悪くなっており、その状態で持続的に網膜に光刺激を受けてものを見ていると、やがて加齢黄斑変性が発病します。

< 網膜に対する光刺激で加齢黄斑が進行する >
網膜に対する光刺激で加齢黄斑が進行する

予防には、働き盛りの時から高脂血症や高血圧、糖尿病などを放置せず、検診で生活習慣病を指摘されたら、内科を受診し、早急に治療を始めることです。
運動、食事と栄養バランス、禁煙による適正な生活習慣の規律は非常に重要です。高脂肪、高カロリーの欧米型の現代の食事は、野菜や果物の摂取が相対的に少なく肥満や動脈硬化を招き、発病の危険因子が増大します。
また加齢に伴い、網膜の黄斑色素が減少すると発病しやすくなることから、Ocular Nutrition(眼球のための栄養摂取)によって発病を予防しようと考えられるようになりました。食事の時に加齢黄斑の機能を維持するサプリメント(栄養補助食品)を摂取して、加齢黄斑変性の発病を予防する方法です。

つい最近、加齢黄斑に対して新しい眼科用サプリメントが相次いで発売されました。ボシュロム社のOcuviteR(オキュバイト)50+や参天製薬のサンテ ルタックスR20+DHAは、黄斑の視細胞維持には必要不可欠な栄養素であるルテイン、ゼアキサンチン、オメガ3脂肪酸を含みます。
ルテインとゼアキサンチンは体内に吸収されると網膜では黄斑色素を構成し、光刺激に対するフィルターとして働き、視細胞を保護します。オメガ3脂肪酸は細胞代謝や細胞膜合成に関わる栄養素ですが、加齢による組織の慢性炎症を抑えて、生活習慣病で血液循環の悪くなった網膜、脈絡膜の環境を修復します。
サプリメントとして補給されたルテイン、ゼアキサンチンとオメガ3脂肪酸が協同して、視細胞の生存や機能維持に重要な黄斑の環境を整備することにより、加齢黄斑の進行や加齢黄斑変性の発病を抑える有効な手段と成り得ることがわかりました。これらの新しいサプリメントは、医療機関またはボシュロム社参天製薬のホームページでも購入が可能です。

加齢黄斑変性は、一旦発病すると視力を維持するための治療に高額な医療費が必要になります。今回、目の疾患と生活習慣病の関連がまた一つ明らかになり、有効な対策が示されました。
目は全身状態を映す鏡とも言われます。日頃から体の健康に関心を持ち、予防に重点を置くことによって、年をとっても健康な目を維持できる方法があるのです。50歳を過ぎたら、眼の健康のために一度お近くの眼科を受診されることをおすすめします。

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いまだ内科クリニック 今田世紀
いまだ内科クリニック
今田 世紀

第1回

慢性腎臓病(CKD)内科

最近、慢性腎臓病(CKD)という言葉がよく使われます。腎臓の機能低下が徐々に進む病気です。今、日本では8人に1人がCKDと言われており、増加傾向にあります。進行すればむくみや倦怠感などが出ますが、初期には症状はありません。
原因としては、肥満・喫煙・高血圧症・高脂血症・高尿酸血症などが挙げられます。特に高尿酸血症は痛風や結石にならなくとも、CKDを悪化させることが注目されています。
治療は早期発見+予防治療です。検診で血清クレアチニン値や糸球体濾過値、尿検査などがひっかかった方はぜひ注意して下さい。

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最新トピックス一覧
第24回:女性の尿漏れ(尿失禁)について
第23回:ペインクリニックとは
第22回:飲み込みの話し
第21回:痔瘻(じろう)について
第20回:慢性心不全での再入院を予防しましょう!-心臓リハビリテーションを中心に-
第19回:ノロウイルス
第18回:糖尿病にかからないようにすれば、アルツハイマー病にかかりにくくなる
第17回:向精神薬について
第16回:泌尿器科のよくある病気
第15回:アトピー性皮膚炎について
第14回:腰痛のお話
第13回:メンタルクリニックとは
第12回:40代から要注意!緑内障の真実
第11回:夏の皮膚とスキンケア
第10回:第109回日本精神神経学会学術総会からの報告
第9回:痛みの治療について
第8回:食物アレルギーについて
第7回:花粉症について
第6回:虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に関して
第5回:胃食道逆流症(GERD)のはなし
第4回:生命の伝承といきいきとした経済のために
第3回:胃に棲みつく悪玉菌ヘリコバクターピロリ
第2回:加齢黄斑変性の疫学と予防
第1回:慢性腎臓病(CKD)